2006年12月18日 (月) | 編集 |
彼女が中原中也と同棲して、その後小林秀雄のもとへ走ったのは有名な話。私は、小林秀雄が中原中也への追悼文として書いた文章を読んでそれを知ったのだが、二人の文学者をとりこにした長谷川泰子自身はその事実をどのようにうけとめていたのかが気になってこの本を購入した。
読後の感想としては、彼女は無垢で少女のような女性だという印象をもった。中原と小林との三角関係は、いわゆるドロッとした情念の固まりのような関係ではなく、ある意味空気のような、必然的な関係のように読み取れた。
少なくとも長谷川泰子にとっては、中原も小林も通過点の一つであったにすぎず、最後に彼女は一人で生きることを選んだ。これもまた面白い点だと思う。
そして彼女は、中原にとって生涯の女だったのだということをひしひしと感じた。中原の中で長谷川泰子は昇華され、ある種女神のような存在になっていたのではないか。
非常に下世話な興味で読んだ作品だったが、人としての生き方を見ることができて興味深かった。
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